歯周病とは?
歯周病(ししゅうびょう)は、細菌の感染などによって歯を支える組織である歯周組織(歯茎、歯槽骨、歯根膜など)が炎症を起こし、歯茎や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。歯周病の症状としては、歯茎の腫れや出血(特に歯磨き時)、口臭、歯が長く見える(歯茎が下がる)、歯がぐらつく、動くなどがあげられます。
歯科医院での歯周病の検査
皆さんは歯科医院で初めて受診をしたり、定期検診時に歯茎をちくちく器具で刺してポケットの深さを測る検査を受けたことがあると思います。この検査のことをプロービング検査と言います。プローブというmm単位の目盛りがついている針状の器具を使用して歯と歯茎の間にある「歯周ポケット」の深さがどれくらいあるかを検査しています。その目盛りを基準に歯周病の進行状態を調べます。この検査で歯周ポケットの深さが3ミリ以下は正常、4ミリ以上だと歯周病と診断されます。
どれくらいの割合で歯周病ですか?
「令和4年 歯科疾患実態調査」の結果よると歯周病がある人(15歳以上)は、47.9%。80歳で20本以上の歯を有する人は、51.6%と約15歳以上の2人に1人は歯周病と言われています。
半数が歯周病と言われているのにも関わらず日本では、自分が歯周病だと認識していない人がかなりの割合を占めているという調査結果があります。その原因として歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、進行するまで気づかないことが多いため、早期に発見できていないケースが多いということがあげられます。
歯茎の腫れや出血があるときでも、痛みがない限り、病院に行かずに放置してしまうことが多いため進行した段階で初めて歯科医院を訪れるケースも多く見られます。
歯周病の主な原因:
歯垢(プラーク)の蓄積:歯垢には細菌が含まれており、これが歯肉に炎症を引き起こします。
喫煙:タバコの煙が歯周組織にダメージを与えるため、歯周病のリスクが高まります。
糖尿病:糖尿病があると免疫機能が低下し、歯周病の進行が早くなることがあります。糖尿病がある場合は、血糖値をコントロールすることが非常に重要です。高血糖状態が続くと歯周病の進行が早くなるため、治療と生活習慣の改善が必要です。
不適切な歯磨き:歯磨きが不十分だと歯垢が取りきれず、歯周病が進行します。
歯科での歯周病の治療とは
歯周病は進行すると自己治癒は難しくなるため、歯科医による専門的な治療が必要です。治療方法は以下の通りです。
スケーリング(歯石除去): 歯の表面に付着した歯垢や歯石を除去することで、歯周病の原因となる細菌を取り除きます。
ルートプレーニング(歯根面の清掃): 歯周ポケット内の歯の根面を滑らかにして、再度歯石が付きにくくする処置です。
歯周ポケットの治療: 重度の歯周病では、歯周ポケットが深くなり、歯周病の治療に外科的手術が必要になることもあります。
自宅で出来る歯周病予防
歯磨き: 食後や寝る前に、正しい方法で歯を磨くことが重要です。歯ブラシは毛先がやわらかく、適切なサイズのものを使い、歯茎を傷つけないように優しく磨きます。特に歯茎と歯の境目(歯周ポケット部分)を丁寧に磨くことが大切です。
フロスや歯間ブラシの使用: 歯と歯の間に歯垢が溜まりやすいため、フロスや歯間ブラシを使って細かい部分まで清掃しましょう。フロスは毎回でなくても1日1回は通すようにすることをおすすめします。
うがいや歯磨き後の口腔ケア: 歯磨き後には口腔内をすすぐことで、残った細菌を取り除く効果があります。抗菌性のマウスウォッシュを使用するのも効果的です。
おわりに
歯周病は早期に治療すれば完全に治すことが可能です。歯肉炎が進行すると、炎症が歯茎だけでなく歯を支える骨にまで及びます。放置すると歯の喪失を引き起こすことがあり、治療が遅れると完治が難しくなります。歯周病は進行するまで自覚症状が少ないことが多いため、定期的な歯科検診が大切です。まずは自分の歯茎の状態をするためにも検診を受けることをお勧め致します。