診療・治療情報

2024.05.30

歯が痛い!

急に歯が痛くなり歯科医院に来院される方は多くいらっしゃいます。痛みの原因は多くありますが、痛みの原因や症状、医院での治療法についていくつかお伝えしたいと思います。

「象牙質」の痛みについて
歯はいくつもの層になっており、私たちの表面に見えているのは「エナメル質」という部分になります。エナメル質には神経が通っていないので痛みを感じません。

エナメル質の内側にあるのが「象牙質」になります。象牙質には神経につながる管が通っているので痛みを生じるケースがあります。
主な原因
1. 虫歯 
虫歯が進行すると、エナメル質が破壊されて象牙質が露出し、痛みを感じるようになります。

2. 歯の摩耗
歯ぎしりや強いブラッシングなどでエナメル質が削れ、象牙質が露出することで痛みが生じます。

3. 歯肉の退縮
加齢や歯周病により歯肉が下がり、歯根が露出することで象牙質が刺激されやすくなり、痛みを感じることがあります。
4. 知覚過敏
冷たい飲み物や食べ物で象牙質が刺激されて痛みを感じることがあります。

症状について
何もしていない時に痛みは感じませんが歯みがきや冷たい飲食物、甘いもの、風などの刺激を受けたときに痛みを感じます。

治療法について
知覚過敏の治療法としては知覚過敏用のお薬を塗ります。また虫歯や象牙質の露出が多い場合はレジン(樹脂)を使用して覆う治療を行います。

「歯髄」の痛みについて
象牙質のさらにその内側にあるのが歯の神経「歯髄」になります。虫歯が進行すればするほど歯髄に及んでいき、耐えがたい痛みを感じるようになります。

歯髄の痛みは、歯の中心部にある歯髄(しずい)が刺激されることで生じる痛みです。歯髄には血管や神経が豊富に含まれており、非常に敏感です。

主な原因
1. 虫歯
虫歯が進行してエナメル質と象牙質を越え、歯髄まで達すると、細菌が歯髄を感染させて炎症を引き起こし、激しい痛みを感じます。

2. 歯の外傷
転倒や事故などで歯が損傷した場合、歯髄がダメージを受けることがあります。

3. 治療の炎症
深い虫歯治療や大規模な歯科処置の後、歯髄が一時的に炎症を起こすことがあります。

4. 歯周病
進行した歯周病により歯周組織が破壊されると、歯髄にも影響を及ぼし、痛みが生じることがあります。

5. 歯根破折
歯が割れたりひびが入ったりすると、歯髄に刺激が及び、痛みを感じます。

症状について
歯髄炎が進行すると、持続的な鋭い痛みが発生することがあります。噛むと痛みがあったり温かいものに対して痛みを感じるといった症状があったり、炎症がひどくなると、歯茎が腫れたり、膿が出ることがあります。

治療方法について

1. 虫歯治療
虫歯が原因の場合は、虫歯を取り除きます。虫歯が大きいとレジンでは対応できないため詰め物やクラウンで修復します。

2. 根管治療
歯髄炎が進行している場合、歯髄を取り除き、根管内を清掃・消毒し、封鎖する治療を行います。治療が完了するまで数回かかります。その後土台を立てクラウンというかぶせ物で修復します。

3. 抗生物質の投与
感染が広がっている場合は、抗生物質を使用して炎症を抑えます。

5. 抜歯
歯が割れている、深刻に損傷して修復不能といった場合は、抜歯が必要になることもあります。

神経がない歯の痛みについて
歯の周りには、歯を支える歯周組織があります。歯の神経は取っていても、歯周組織には微細な神経が存在します。歯自体には問題がなくても、歯周組織に炎症が広がると、歯の周りに痛みを覚える様になります。

主な原因

1. 被せ物と歯の間に隙間がある
神経を取って、被せ物(クラウン)を入れることが多いですが、その被せと歯の間に段差があり、きれいに合っていないと痛みを感じることがあります。

2.噛み合わせが強い
神経がない歯でも、他の歯よりも噛み合わせが強く当たることで歯根膜や歯槽骨が痛みを感じることがあります。

3.根管治療で完全に細菌が取り除けなかった
歯の根っこが曲がっている、細かく枝分かれしているなどの場合、根管治療の器具がうまく届かず、神経のカスや細菌が根っこの中に残ってしまうケースがあります。根っこの外まで炎症が広がると、神経がない歯でも痛みを感じたり、噛んで痛いなどの症状が現れます。

4. 歯が割れている
根っこの治療をするほどの虫歯があった歯は、残っている歯は少なかったり、薄かったりします。そこに歯ぎしりや食いしばりなどの力が加わると、噛む力によって割れることがあります。神経がないため、少しのヒビくらいなら症状は出ませんが、大きく亀裂が入ると、歯自体は痛みがなくても、そこから細菌が侵入し、歯周組織に強い炎症をおよぼし、痛みの原因になります。

症状について
ズキズキした傷みを感じる。噛むと痛いなどの症状が出て、歯が原因だと錯覚してしまいます。

治療方法について
被せ物が合わない場合は再作成をしたり、噛み合わせが強い場合は噛み合わせの調整をします。根管治療が原因ならもう一度根管治療を、歯が割れている場合は抜歯にとなる可能性があります。

終わりに
痛みの原因は多くあり、上記以外にも、歯周病、親知らずが原因の痛みなど痛みの原因は様々です。

予防としては糖分を控えバランスの取れた食事をとることや毎日の正しいブラッシングとフロスの使用などの適切な口腔ケアが必要です。また早期に問題を発見し痛みが出る前に、定期的に歯科医を受診しましょう。3.4か月に一度口腔内のクリーニングを兼ねた定期検診をお勧め致します。

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