虫歯になる子は減っている?
近年子供が虫歯になる確率が減ってきています。
厚生労働省の調査によると昭和62年の6歳以下の子供が虫歯になる確率と平成23年の6歳以下の子供が虫歯になる確率は半数以下に減少しているという結果が出ています。
その要因としては保護者の意識の違いがあげられます。昔は歯医者に行く理由が虫歯の治療だったのに対し、現代では定期健診、フッ素塗布とむし歯治療ではなく、予防のためという方向にシフトされてきているからと言われています。
虫歯以外で増加している新たな口腔機能問題
虫歯になる小児は減ったものの近年口腔機能に関する問題が増えてきています。小児の半数以上が口腔機能に何らかの問題を抱えているといわれています。
2018年には「口腔機能発達不全症」という新たな病気が制定されました。
具体的な病気の症状としては食べ物をかんでのみ込む「摂食や嚥下」がスムーズにできない、話し方が不自然、気が付つくとぽかんと口を開けていて口呼吸になっている、鼻が詰まっていないのにいびきをかくなどがあげられます。
その要因としてコロナの影響で長いマスク生活で着用の息苦しさから口呼吸になっている、スマートフォンやタブレットなどの普及で下を向く「猫背」の姿勢が多くなり下あごが引っ張られ口呼吸になってしまっているなど口腔機能の発達や影響を及ぼしているというのがあげられています。
口腔機能発達不全症が引き起こす問題とは?
1.顎の発達障害
正しい舌の運動で上手く呑み込めないと舌が前歯を押しながら飲みこんでしまうため、徐々に前歯が押されていき、将来的には前歯が通常より前に出たり、受け口になる可能があります。
2.顔貌の悪化
口が開いたままで、口の周りの筋肉が少なくなり動きも悪くなると、容姿や表情が損なわれ将来的には顔貌が悪化したりする可能性があります。
3.うまく発音できない
特定の音を発するのが難しいため、人とのコミュニケーションや学習に支障をきたすことがあります。
4.歯並びが悪くなる
正しい舌の位置や口唇の筋力が欠如しているため、歯の位置や咬み合わせに異常が生じることがあります。見た目や噛み合わせの問題が発生することがあります。
他にも口腔機能が低下すると食べられる食物の種類や量が制限され、栄養のバランスがとりにくくなり食事の質が悪くなるため、免疫や代謝といった機能の低下から病気にかかりやすくもなりますし、治癒もしにくくなります。
口腔機能発達不全症の予防法とは?
1.口を閉じる
いつの間にか口が空いている状態を防ぐためマッサージや口の周りの筋肉を鍛えるエクササイズをしたりすることで口を閉じることを意識しましょう。
2.食事の際よく噛んで食べる
食事の時によく噛んで食べることも口の筋肉を鍛えるのに有効です。一口当たり30回以上噛むと良いと言われているので食事の際に意識してみて下さい。
3.お口のトレーニング
口周りの筋肉を鍛えるためにシャボン玉を作ったりガムを膨らませるなど口を使った遊びも効果的です。楽しく口周りの運動ができるためお子様にオススメです。
歯科医院での治療法は?
1.歯科矯正治療
口腔機能発達不全症に伴う歯並びの問題の解決策として歯科矯正治療が行われることもあります。歯列矯正で噛み合わせを正しくすることで咀嚼や発音の機能を正常化することが可能です。
2.口腔筋機能療法(MFT)
MFTは、舌や口唇、頬などの口腔周囲筋のトレーニングにより無意識で行っていた口の癖をご自身で認識することを通じて口腔機能の改善を図る治療法です。舌の位置や口周りの筋肉を正常化し、咀嚼や飲み込み、発音などの機能を改善させることが出来ます。
口腔機能の健康は、私たちの日常生活において重要な役割を果たしています。食事や会話、容姿といった人とのつながりや言語、非言語的コミュニケーションに欠かせないからです。
口腔機能発達不全症の改善には早期発見と適切な治療が重要になってきます。もしご子供さんに上記に記載した疑わしい症状がある場合は、当院では歯科医師の支援を受けながら口腔機能をサポートすることが可能です。是非お気軽にご相談お待ちしております。