・撮影するレントゲンの種類について
歯医者で撮影するレントゲンの種類はいくつかあります。まず当院におけるレントゲンの種類について説明します。当院では知りたい情報や症状、状況に応じて3種類のレントゲン撮影をしています。
- 1.パノラマレントゲン
全体の口腔内のレントゲンになり上下の歯の位置や配置、虫歯有無や顎の骨を一度に評価することが出来ます。初めて受診される患者様や前回のレントゲン撮影から1年以上経った患者様には口の全体写真の撮影をお願いしています。
- 2.デンタルレントゲン
小さなフィルムを口の中に入れ外からX線を照射するレントゲンで2~3本の歯が1枚のフィルムに写ります。パノラマレントゲンの全体的な口腔内より細かく部分的に歯(虫歯など)、歯根、周囲の骨の状態などを確認することが出来ます。歯が痛いなどの症状がある場合や歯根や虫歯の状態を1本の歯に対してより詳しく確認するために撮影します。
- 3.CT(コンピュータ断層撮影)
歯科用CTは、医科のCTと比べると撮影時間が短く、数十秒の撮影時間で、歯や顎の骨の状態を三次元的に把握できるデータを得ることが出来ます。任意の角度や位置から顎の骨の幅や深さ、奥行きまで正確に把握可能なので、インプラントや親知らずの抜歯、矯正治療など治療時に有効です。
- 歯医者さんのレントゲン写真の安全性について
レントゲン写真を撮るときに放射線量について気になる方も多いと思います。1回のレントゲン撮影の放射線量について説明したいと思います。
社団法人東京都歯科医師会のデータによると、パノラマレントゲンにおける放射線量は約0.03ミリシーベルト程度と言われています。デジタルレントゲンは約0.01ミリシーベルト、CTは約0.1ミリシーベルトと言われています。医科のCT よりX線を照射する部位も口腔周囲に限られることから、歯科用CTによる被ばく量は、医科の10分の1程度にとどまります。
例えば飛行機でニューヨークを往復する放射線量が約0.2ミリシーベルトと言われているので放射線量が少ないのがわかります。
一方で人体に影響を及ぼす放射線量としては、放射線医学総合研究所のデータによると 年間約100ミリシーベルトを超えない限り、問題ありません。また、人間が自然界で浴びる放射線量は約1.5〜2.4ミリシーベルト程度と言われています。
これらのことから、歯医者のレントゲンにおける放射線量は、人体にすぐさま影響を及ぼすレベルではないと言えるでしょう。
・妊娠しているかたへの影響について
妊娠中のお母様は特にレントゲン撮影について心配な方もいらっしゃると思います。しかし、胎児に影響を及ぼすと言われているのは年間約50mSv(シーベルト)以上と言われており1回の撮影の放射線量を考えると影響を及ぼすほどの量ではありません。また、胸部や腹部に直接照射するような撮影ではなく、口腔内に限ったレントゲンですので、1度や2度程度のレントゲンは概ね問題ないと言えます。さらに、鉛の入った「放射線防護用エプロン」を着用してからレントゲンを撮影するので被ばく線量は限りなく0に近いです。それでもどうしても心配な方は、安定期を待って治療されることをおすすめします。
・歯医者さんでのレントゲン写真の撮影はなぜ必要について
1.口腔内の疾患を早期に発見できる。
肉眼ではチェックできない歯周病や虫歯の有無を調べることが出来ます。治療が遅れることによって、歯が喪失してしまう場合もあるので早期発見が重要になります。
2.歯の骨の状態がわかる
歯の根元の部分の状態を確認できるため、歯が割れていないか根元の炎症がないかを確認することが出来ます。
3.口腔内の環境を確認できる。
目視では確認できない親知らずの生え方や歯茎で隠れた歯石などの確認が出来ます。細かい部分の歯石を取り除くことで歯周防を予防することが可能です。
理論的には安全性がわかっていても、気持ちの上で不安がぬぐえないこともあるかと思います。不安よりもレントゲン撮影により多くの情報を得ることが出来、治療に役立てることが出来ます。必要な情報が得られることのメリットの方がはるかに大きいと言えます。映像を患者様と共有しお口の中の状態を把握することで治療計画を立てることが出来るのでレントゲン撮影は大切な検査と言えます。定期的な検診も含めてお口の状態を確認することをお勧めします。