妊娠中は口内環境が変化し、歯や歯ぐき(歯肉)のトラブルが起こりやすい時期になります。母親がむし歯になると、赤ちゃんがむし歯になるリスクも高まるため、正しいオーラルケア習慣を身につけることが大切です。
・妊娠初期(0~3ヶ月)
妊娠初期は、歯とお口のトラブルが増えやすい時期
妊娠により、女性ホルモンが増えることで口の中の状態は大きく変化します。口の中を正常に保つ唾液の分泌が低下してしまい、トラブルになりやすい時期です。
妊娠中でも治療は受けられますが、初期はつわりがひどいため、トラブルにならない様に、十分に気をつけることが大切です。むし歯予防に効果的なフッ素配合のハミガキ剤がおすすめです。
●注意が必要なトラブル
1.歯周病になりやすい=妊娠性歯肉炎
2.口臭が発生しやすくなくる
3.むし歯になりやすい
4.口内炎になりやすい
5.親知らず(智歯周囲炎)
●歯磨きのアドバイス
一日のうちで体調のよい時間に歯磨きを、リラックスして行いましょう。
その際、ヘッドの小さいハブラシを使用します。
歯磨きの時は、下の方を向いて前かがみの体勢になり、ハブラシを舌に当てないようにすると嘔吐感を避けやすいです。ハブラシは小刻みに動かしましょう。
またハミガキ剤は、香料や味の強いものは避けるといいです。
●歯磨きできない時には
デンタルリンスや水でのブクブクうがいをしましょう。
・妊娠中期(4~7ヶ月)
一度に「食べられる量」が減ってしまうため、空腹状態が多くなり、間食などの「食べる回数」が増えやすい時期になります。妊娠中は唾液の量が減り、自浄作用が弱まるため、食後の歯磨きによるケアが重要です。歯磨きの基本を再確認してリスクを減らしましょう。
この時期は、体調も比較的安定しているため、歯科治療はこの時期が適しています。後期に入ってお腹が大きくなるとあお向け治療を受けるのが大変です。
何か悩みがある場合は、この時期に歯科医院に相談しに行きましょう。
⚫️歯磨きのアドバイス
つわりが落ち着いて歯磨きができるようになったら、十分に歯磨きできていなかった臼歯部、とくに最後臼歯部を丁寧に磨きましょう。食事や間食の回数が増える場合は、食後の歯磨きを行いましょう。妊娠中は、歯肉かわデリケートになり出血しやすくなりますが、出血を恐れて歯磨きができないと炎症が悪化するため、使う歯ブラシの毛の硬さを少し軟らかいものにしたり、あてる力を優しくするなど工夫して、歯磨きをしましょう。とくに咬合面、歯間部、歯頸部を丁寧に行い、虫歯や歯肉炎予防でポイントとなる歯間部にはデンタルフロスを併用するとよいです。
デンタルフロスを活用して、歯と歯の間の歯垢(プラーク)もしっかり除去しよう
🔺歯間部の歯垢(プラーク)除去率 歯間部の歯垢(プラーク)除去率
※出典:山本他日本歯周病誌1975
ハブラシのみでは落ちにくい歯と歯の間の歯垢(プラーク)。デンタルフロスを使用して、しかり除去してむし歯を予防しましょう。
・妊娠後期(8~10ヶ月)
赤ちゃんのむし歯はママの影響が大!
妊娠後期になると体がだるくなり、歯磨きもおっくうになりますが、この時期に適切な口腔清掃を行い、習慣化しておくことが大切であります。後期から出産後しばらくの間は、体調は育児のために歯科医院への受診が難しくなることが多くなります。また、生まれたばかりの子供の口腔には、虫歯の原因になる細菌はいません。母親の唾液が食器などを通して子供の口腔内に入り感染を引き起こします。虫歯の多い母親は、子供に感染させる危険性も高くなり、早期に子供がう蝕になってしまうことがあります。
まず、自分の口腔環境を良い状態でに保ち、自分と子供を虫歯や歯周病から守り、健康な生活を送ることができるようになることが望ましいので、出産準備とともに正しいオーラルケアを心がけましょう。
歯周病と早産の関連性を知ってますか?
歯周病の妊婦さんは歯周病でない妊婦さんに比べて約5倍も早産になりやすいです。歯周病は、歯を支えている歯ぐき(歯肉)や歯槽骨を破壊する炎症性の病気で、歯周病といろいろな病気との関連が明らかになってきています。
妊娠期には、女性ホルモンの増加により炎症に対する反応が増し、口の中での歯周病原因菌が繁殖しやすくなります。歯周病になると、体内の自分を守ろうとする細胞から、出産のサインになる物質が過剰に作られます。
さらに、子宮収縮を促進させる物質も作られ、早産につながることがあります。
妊娠前からの歯周病の予防や治療は元気な赤ちゃんのためにも大切です。
🔺早産の発現率
※被験者:鹿児島県の産婦人科に通院又は入院中の妊婦114名
※南日本新聞Hasegawa Ketal.,J.Periodontol:74,2003を一部改変して引用
歯医者さんでは、赤ちゃんの歯磨きや虫歯予防の方法など、お口の健康に関する情報を聞くことができますので、気になることがございましたらひまわり歯科にお気軽にご相談下さい(^-^)