口腔機能の発達を歯科医院で支援するイメージができないという方も多いかもしれません。
しかし、実は乳児期には、歯科としてかかわりやすいポイントがあります。
では、保護者の困りごとについて解説していきます。
1「噛まない」「丸のみする」
食感の異なるものを混ぜてみる、適切な食具を使用する
保護者の主訴でもっとも多いのが「噛まない」「丸のみしてしまう」というものです。月齢の指針として離乳食を始めている方、月齢より低い年齢の離乳食を進めている方に多いように感じます。乳幼児の口腔内を診ると、必ず上下の乳前歯以上の歯が崩出しています。保護者は「前歯が上下生えてるのに噛んでくれない。どうしよう。どうしたらいいの?」という気持ちになるそうです。
噛まないという場合には一見食材を固くしたら噛むとか柔らかいから噛まないと思いがちです。しかし、ふだん柔らかいものを食べている子に、いきなり硬いものを差し出しても食べません。
実は、食感の異なる食材や海草類、小魚や食物繊維が多く含まれるものは自然と噛む回数が増えていきます。
保育園給食で白米と具を混ぜ込んだチキンライスの咀嚼回数測定をした所白米の平均が15.4回の所、チキンライスは18.7回とひと口あたりの咀嚼量が増えていることが分かりました。食材で工夫していきましょう!
2「仕上げ磨きが苦手」
仕上げ磨きを嫌がってさせてくれないというのも保護者から多く寄せられる悩みです。単に息苦しさが理由であることもあります。乳幼児の呼吸回数は成人の約2倍で、嚥下回数も成人よりもはるかに多いのです。
子どもは、歯ブラシを近づけると自然と息を吸い、歯ブラシが口に入ると息をとめたり、鼻呼吸をします。そして、口から出すと嚥下し、息を吐きます。これを利用し、歯ブラシを口に入れている間、数を数えてみましょう。(年齢+2秒が目安)こうすることで子どもたちの呼吸をコントロールしてあげることになるのです。
このように歯ブラシの出し入れと呼吸指導をつなげることで、仕上げ磨きを、スキンシップはもちろんのこと、機能の発達にもつなげることができます。
3 保護者がストローのみをさせたがる(しないといけないと思い込んでいる)
口腔機能の発達上は、ストロー飲みは必要ありません。しかし、「こぼされるのが嫌」「保育園で水筒がはストロータイプと指定されている」など様々な理由で、ストローで飲み物を与える家庭を多く見ます。舌まで届くストローで飲むことで、舌を前に出して飲む乳児嚥下が持続され、大切な成人嚥下機能を学習する機会を奪ってしまいます。
ストロー飲みの吸う動き
長いストローで飲むと、舌にストローが届く。舌を前に出して飲む乳児型嚥下が持続してしまうため、大切な機能を学習する機会を阻害してしまします。
コップ飲みの吸う動き
舌を後方に出しながら口唇を前に出す複雑な動きとなる。
また、離乳期におけるもっとも重要なことは、第一乳臼歯の萠出までに内舌筋を鍛え、嚥下圧を鍛えることで、これは口蓋形成にもつながると考えます。内舌筋や嚥下圧は、捕食したりコップから飲もうとする際に培われます。コップ飲みの際に口唇を丸く包み込む動きをすると、自然と舌も丸くなりますがこの舌を丸める動きや食塊形成としてはたらく舌の形を変える動きが内舌筋の動きです。内舌筋の働きによって下のボリュームが増し、舌圧に関与するのです。
まずは、スプーンですくって飲む練習から始め、おちょこ、小さいコップなどで徐々に飲む練習を進めて、内舌筋を鍛えましょう。
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